石堂動物病院

院長のひとりごと

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2010年 12月

2010.12.20(月)

NHKスペシャル「さよならアルマ」を見て,

先日,NHKスペシャル「さよならアルマ」というドラマを見ました.

第二次世界大戦という戦争中に,一般家庭で飼われていた犬たちが軍用犬として戦地に出兵して,どのような活躍をして,そして最後にどうなったかの物語です.

戦争に行った犬たちが存在していた事は以前から知っていました.
もうだいぶ前になると思いますが,朝日新聞の夕刊に戦争に行った動物たちの連載コラムが掲載されており,毎回読んでいました.

軍用犬として戦場に行ったのは,ジャーマン・シェパード,ドーベルマン,エアデール・テリアなどだったそうです

戦争にかり出されたのは,犬の他にも個人が飼っていた乗馬用の馬や農家などで飼われていた馬たちがいます.
その他に,戦場にかり出されることはなかったのですが,その毛皮を兵隊の防寒具として使うために一般家庭で飼われていた犬や猫も,「お国のために…」という言葉のもとに供出され,その命を奪われたそうです.
戦争時の動物たちの隠された歴史を事実のままに書き連ねたコラムで衝撃的な内容でした.動物にかかわる仕事をする獣医としては知っておくべき事実だと思っていました.

第二次世界大戦で戦場にかり出された軍用犬で無事に日本に帰国した犬はいません.ドラマではジャーマン・シェパードの「アルマ」が中国大陸で働き,最後は行方不明に…,

朝日新聞のコラムでは,南方の島々に連れて行かれた軍用犬は飛行場や軍港などで,ゲリラが破壊活動や攻撃してきたりするのを見張る歩哨業務についたそうです.
そして,日本軍が敗戦へと進むなかで戦死したり,病死したり,置き去りにされたりと,それぞれに悲しい運命を生きていたみたいです.そのなかには,そのまま,その地で中国軍やアメリカ軍の軍用犬として仕事を続けた犬が数多くいたと言われています.

馬たちも将校の乗馬用であったり,大砲など引っ張る重労働を引き受けてお国のために働いていたそうです.終戦後は中国の軍隊に引き取られて同じように軍馬としてその生涯を送ったものがほとんどであったそうです.ごくごくわずかな馬たち(主に偉い軍人将校の乗馬用であった馬)が終戦後日本に帰ってきて,その軍功を称えられたと朝日新聞のコラムに書いてあったように記憶しています.

これら戦場へ出兵していった犬や馬の慰霊碑が,東京の靖国神社の片隅に建てられています.そんなことを知っている人はほとんどいないでしょうね…

愛する動物たちと安心して暮らせる現代ですが,「もう少し動物のためにも,ちゃんと飼ってあげてくださいよ!」と心の声が叫ぶような症例に時々出会います…,残念…….

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