石堂動物病院

院長のひとりごと

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2012年 07月

2012.7.27(金)

雑文:「絶滅した日本のオオカミの遺伝的系統」

先日,雑誌の整理をしていた.
手に取った雑誌は「日本獣医師会雑誌」の3月号である.
目にとまった記事は,「絶滅した日本のオオカミの遺伝的系統」である.
大学や各地に残されたオオカミの骨の粉からDNAを分析してその系統を調査して報告している記事である.日本のオオカミなのにその骨格標本や剥製,その他の資料がほんとに少ないのにちょっとびっくりである.

かつて日本には,北海道にエゾオオカミ,本州にニホンオオカミの2種類がいたそうである.エゾオオカミはユーラシア大陸からサハリンを経由して渡来した系統であるらしい.ニホンオオカミはアジア大陸やアメリカ大陸に生息するオオカミとはまったく別の日本に孤立化した系統らしい.

このような研究が日本にとってどのような獣医学的に意味,価値があるのだろうか?
何か日本の将来に貢献するような研究なのだろうか?

宇宙の謎を追い求めて,空想のような世界を語る天文学者,
恐竜の世界や古代の社会をさも見てきたかのように語る考古学者,
これらの人達の研究と同じような種類の研究に思えて仕方がない
私にはこれらの研究の価値がよくわからない.

でも,このオオカミの記事を一番ワクワクしながら読んでしまった.
何か,ロマンを感じてしまう.
この研究の内容を知ったからといって,おそらく私の人生に大きな変化はないだろう.でも,なぜか心地よい気持ちになった…


そうか!
人に何かロマンを感じさせることが,これらの研究の目的なのかもしれない.
少し,わかった気がしてきたぞ…

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