石堂動物病院

病院便りこのコーナーでは飼主のみなさまと動物に役立つ情報を
お伝えして行きたいと考えています。楽しみにしていてください。
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☆この病気の治療法は?

この病気の治療は、左心室から左心房・肺への血液の逆流をできるかぎり少なくすることで心臓の変形や肺への影響を最小限とし、病気の進行を少しでも遅らせることです。内科的投薬を行うことによって快適に生活できる時間をより長く保つことを目的とします。そのためには下記に示すような薬を組み合わせて生涯にわたって投与します。

  1. 血管拡張剤
    ACE阻害剤とも呼ばれる薬です。この薬は血管を広げることによって、全身性に血液の流れを良くすることを目的に投与される薬です。「僧帽弁閉鎖不全症」のすべての時期において投与されるもので内科治療の中心となる薬です。
  2. 利尿剤
    「僧帽弁閉鎖不全症」の病気が進行し、血液のうっ滞が始まり肺に水が貯まりはじめたら(肺水腫の発生)投与する薬です。肺に貯まった水分をおしっこにして体外に排泄させます。肺の状態が良くなれば投与を中止しますが、病気が進行するとすぐに肺に水が貯まってしまうので利尿剤を常に投与する必要性が出てきます。
  3. 強心剤
    病気がさらに進行してくると心臓の収縮力が弱まり、心臓のポンプ機能の低下が起こります。このような状態では全身に酸素と栄養を含んだ血液を送り出せなくなります。心臓にできるだけ負担をかけないように収縮力を高めるために強心剤と呼ばれるグループの薬が投与されます。
  4. その他の薬剤
    心拍数をコントロールする薬や、咳が酷い場合に用いる気管支拡張剤など、それぞれの病期に合わせて複数の薬を組合せて投与を行います。

薬の投与の他に、食事療法生活管理が重要になってきます。病気が進行してくると積極的に心臓病用の療法食を利用します。これらの療法食は十分な栄養を確保しながら塩分制限がなされています。さらに心筋保護やアンチエイジング目的のサプリメント併用も有効かもしれません。また日常の生活管理で大切なことは、心臓に負担のかかるような運動を控え、興奮するような状況を避けること、心臓病の悪化要因でもある肥満対策としての食事管理です。

現在では、獣医科大学などの高度医療が実施できる数カ所の施設において、体外循環装置(人工心肺装置)を用いて僧帽弁の異常を修復する僧帽弁形成術(弁輪縫縮術+腱索再建)などの心臓外科の手術も実施されています。まだ、心臓外科による治療法は一般化していませんが、手術が上手く行われれば、内科的コントロールもほとんど必要なく、完治に近い状態であると報告されています。

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