石堂動物病院

病院便りこのコーナーでは飼主のみなさまと動物に役立つ情報を
お伝えして行きたいと考えています。楽しみにしていてください。
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☆瓜実(うりざね)条虫症

感染経路

瓜実条虫の虫卵は、寄生されている動物の便と一緒に排泄される片節の中の、卵嚢の中に多く含まれています。その便をノミの幼虫が食べることによって、卵はノミの体内に入り、ノミの成長と共に卵から幼虫へと成長していきます。そしてノミが成虫になり、犬や猫に寄生します。ノミに寄生された犬・猫の毛づくろいをする際にそれらのノミを食べてしまうことで経口感染が成立します。

感染経路

症状

卵嚢

成虫になると、消化管内で最大50cmにも達する瓜実条虫ですが、虫体の大きさのわりには症状が軽いと言われています。多数の瓜実条虫が小腸に寄生することによって下痢や嘔吐が起こることがあります。瓜実条虫は小腸に寄生しながら卵のいっぱい詰まった卵嚢(右図)が多く含まれている自分の体の一部(片節)を切り離し、便と一緒に体外に排泄します。

イメージ便を排泄する際に便の中だけではなく、肛門周辺にも片節が付着することがあります。これらの片節は米粒大なので、飼主 さんにも簡単に見つけることができます。もしも新鮮な便の表面や肛門周辺で、白色またはやや赤みを帯びた米粒のようなものが伸び縮みしていたら、それは瓜実条虫の片節(右図)です。
瓜実条虫は検便をしても見つからないので、日々の愛犬・愛猫の排泄物を飼い主さん自身がチェックすることが大切です。

治療と予防

瓜実条虫に感染してしまった場合は、駆虫薬を投与します。ですが、駆虫薬によって死んだ瓜実条虫は体内で溶けてしまうので、死んだ虫体が排泄されることはありません。駆虫ができたかどうかの確認のために、投薬してから1〜2週間は便や肛門周辺に片節がないかのチェックが必要です。予防としては、瓜実条虫はノミがいなければ感染することがありませんので、ノミを生活環境から駆除することが瓜実条虫を予防することにつながります。

☆犬鉤虫症

感染経路

虫卵が外界で孵化、脱皮して感染幼虫となり、以下の4つのルートで感染が成立します。

経口感染

もっとも一般的な感染ルートは経口感染で、犬の口から入った幼虫が腸管内で発育し15日〜26日で成虫となります。まれに感染幼虫が口腔粘膜から血液に侵入して全身に移行する場合もあります。

経皮感染

感染幼虫は皮膚や毛穴から侵入し、血液に乗って体内を巡り、感染後約17日で小腸において成虫となり産卵を開始します。まれに3ヶ月齢以下の幼犬では気管に移行、それ以上の犬では全身に移行し臓器や組織に寄生する事もあります。

経乳感染

母犬の体内で休眠状態だった幼虫が妊娠により活性化し乳腺に入りこみ、その母乳を飲むことで子犬に経口感染します。

胎盤感染

母犬の体内で休眠状態だった幼虫が妊娠により活性化し、胎盤に入り込んで胎児に感染します。しかし、胎盤感染の成立は非常に少ないと言われています。

イメージ

症状

犬鉤虫の成虫は鋭い歯で腸絨毛に咬みついて、そこから吸血して栄養をとります。重度の感染例では、咬みついた傷口からの出血と吸血のために慢性の貧血状態となります。腹痛や食欲不振、下痢、出血性下痢(黒色タール状の血便)などの症状が見られます。抵抗力の弱い子犬の場合は、激しい下痢や血便による衰弱によって死に至ることもあります。

治療と予防

鉤虫卵検便によって鉤虫卵(右図)が検出されれば駆虫薬で駆虫します。予防は、常に便の処理を速やかに行うこと、また定期的な検便(糞便検査)をうけることです。幼虫は外界でも生きていけますが、高温や低温、乾燥には弱いので、定期的に愛犬の周辺環境を熱湯消毒などして清潔に保つ事が大切です。

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