石堂動物病院

病院便りこのコーナーでは飼主のみなさまと動物に役立つ情報を
お伝えして行きたいと考えています。楽しみにしていてください。
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成功させるぞ!ダイエット大作戦

☆無理のないダイエット計画をたてる

(1)減量用療法食の利用

Q.動物病院で販売されている減量療法食と市販の減量フードの違いは?

動物病院で販売されている減量用療法食は,より確実な減量が出来るように市販の減量用のフードに比べてカロリー量と脂肪量をより大きく減らしています.病院での説明のもとダイエット計画をたて,定期的な健康のチェックをしながら使用していただくフードです.
一方,市販の減量用フードは減量の必要がないワンちゃん,ネコちゃんに与えても健康に害が及ぼないようにカロリー量と脂肪量の減らし方は最低必要量が維持できるように僅かにしか減らしていませんので,これらのフードで実際に減量させるのは難しいと思われます.

Q.各メーカーの減量療法食の違いは?

様々なメーカーから減量用フードが発売されていますが,カロリー量と脂肪量を減らしていることは基本的に同じです.最近では各メーカーとも減量中でもたんぱく質はしっかり取れるようにしています.一番異なるのは繊維質量の違いです.カロリー量を減らしても量が少なくならないようにカサを増す工夫(繊維質を多くしたり、空気で膨らましたり)がされています.その他に脂肪を優先的に燃やしやすい栄養素を多くしたり,血糖値を上がりにくくしたりそれぞれメーカーにより工夫されています.

Q.減量用療法食を使うとなぜやせるのですか?

減量用療法食はカロリーと脂肪の量を足りないぐらい低くしています.足りないカロリー量を体の脂肪を使用(燃焼)させて補わせることによって体の脂肪を減らすことが出来ます.与える量を少なくしてしまうと,カロリーは少なく出来ますが必要な栄養素を満たすことが出来なくなります.たんぱく質量が少なくなると体の脂肪だけでなく筋肉も減ってしまいます.これは良くありません.減量用療法食はカロリーと脂肪を少なく取らせるだけでなく,必要な栄養素は満たせるように,また筋肉を維持出来るようにたんぱく質はしっかり取れるようにしています.

(2)「おやつ」について

減量作戦実施中は基本的には間食,おやつは与えてはいけないのが原則です.
しかし,「ダイエットを必要としている動物を飼っていて,現在,減量作戦を実施中なのだが,家族が協力的でない,お父さんやおばあちゃんが隠れておやつを与えている,どうしたらよいのか?」とよく相談をうけることがあります.
おやつを与えることがどうしてもやめることができない場合は,おやつを禁止するのではなく、「おやつは1日にこれだけ与えて良いですよ」といって決めた量を分包しておくことをお勧めします.そうすれば食べる量が一定しますので,フードの量を決めることができます.
動物用クッキーなどは思っている以上にカロリー量が高く,塩分,脂肪も多いものがありますので与えすぎには気をつけてください.できれば,おやつも主食としているものと違う減量用処方食にするとさらによいと思います.

(3)その他の食材について

Q.減量用処方食に野菜などのカロリーの低いものを混ぜて与えてもいいのでしょうか?

食事量を制限することで空腹感によって動物が苦しむような事がある場合には,空腹感の解消のために野菜(キャベツなど)を混ぜる事は,理論的にはカロリー密度を低くする作用,胃を膨らます作用が考えられますので問題はないと思われます.時に野菜の種類によっては便秘になったり,下痢になったりすることがありますので,その場合はその野菜を混ぜる事をやめましょう.
空腹感の解消のため胃を膨らます目的で与える場合は,常に野菜を与えなければならなくなることもあります.少ない食事量に慣らすことも減量後の体重維持に必要になりますので,減量が順調に進んでいるようであれば,野菜の量を徐々に少なくすることも考えましょう.

(4)運動によるカロリー消費

肥満状態での過度の運動は,四肢の関節や,循環器に負担がかかるために行ってはいけません.まず,最初は通常のお散歩程度の運動で構いません.とりあえず減量用処方食を用いた食事療法で体重を減量させていきましょう.
そして,ある程度減量ができたら,犬の場合は運動量を徐々に増やしていってください.具体的には,散歩は少し早足で歩かせる,休みの日や少し時間の余裕がある時は普段より散歩時間を少し長くしたり,回数を増やしてみたりする工夫をしてみてください.
猫の場合は,家の中ではスペースの関係上走り回る事はなかなか出来ませんので,上下の運動を多くさせることが運動量を増やすことになります.市販の猫用のツリーなど使用するのも良いですし,食事の場所を高い位置にするなどして自然と上下の運動が出来るようにする工夫をしてください.ペットオーナー様ができるだけ猫じゃらしなどを利用して遊んであげる時間を長くつくってあげてください.

(5)ダイエット作戦スタートするにあたって

減量用療法食はメーカーにより使い方が異なっています.ご家族が使いやすい方法で,動物に無理な負担がかからないように減量出来ることが大切です.ひとつは目標体重を決めて与える食事量を決める方法,もうひとつは現在の体重から与える食事量を決める方法があります.
現在の体重から与える食事量を決める場合,確実なのは2週間ごとに体重をチェックし確実に減っているかを確かめ,減っていなければ食事量を修正していただければ確実に減量することが出来ます.1週間に体重の1%から1.5%の減量が適切と言われています.
定期的にチェックし問題があれば早く給与量を修正することが大切です.食事量の決定などに関しては病院スタッフにご相談していただければアドバイスを行います.

(6)体重を定期的にチェック!

ダイエット作戦の記録をつけましょう.
今の体重,目標体重,1日に何をどれだけ食べたら良いのか,散歩の時間・回数,体重の推移など経過を記録しましょう.ダイエットをスタートした時の写真など付けておくと,ダイエットが成功した後に感動が生まれますよ.ブログなどに記録をアップするのも楽しいかもしれません.
そして,2週間ごとに体重測定を行いましょう.病院に来ていただければ,いつでも無料で体重測定を行えます.面倒くさいからと途中で体重測定を中止してしまった場合も,効果がうまく分からなくなってしまいます.とにかく体重測定は続けることが大事です.それを基に体重変化のグラフを作りましょう.グラフを作ることで,現状で目標体重にいつ頃届くのかがわかります.それが設定した目標日よりも遠のいている場合は.再度食事量を計算しなおします.

(7)ダイエットがうまくいった後は…

ダイエット作戦が成功した後は,リバウンドに注意しましょう!
理想体重を維持するために,減量用療法食を続けても構いませんし,肥満防止用フードやシニア食に変更しても構いません.定期的に体重を測定して,食事の種類や食事量を調節しましょう.
そして,しっかりと運動させることも忘れずに.

ダイエット作戦を実際に行っている時に,ちょっと悩んだり,困ったり,上手くいかなかった時に,何かヒントになるかもしれない「Q&A」を作りました.参考にしてみてください.

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