石堂動物病院

病院便りこのコーナーでは飼主のみなさまと動物に役立つ情報を
お伝えして行きたいと考えています。楽しみにしていてください。
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「猫の膀胱炎」のお話

<猫の特発性膀胱炎の治療>

「猫の特発性膀胱炎」は、ストレスなどが関与しているので、なかなか根治は難しい(無理?)病気です。そして、細菌が原因ではないので、急性に症状を発症しても5~7日以内に症状が消失することも考えられるので、抗生物質の長期投与は基本的に必要ありません。なので、この病気に対しての治療は、排尿困難に伴う痛みに対する鎮痛剤の投与、尿道閉塞が生じた時の閉塞解除処置などのような、猫ちゃんが苦しんでいる状態をできるだけ早く解消してあげることが治療のメインとなります。
「猫の特発性膀胱炎」において1番大切な事は、この病気を発症させない、再発させないようにする事です。そのためには、ご家族の方が自宅において、(1)猫が濃い尿を作らないように、(2)猫がストレスを感じないように、いろいろと対策を考え実行してもらうことが必要になります。

<発症予防/再発予防の対策:具体的にはどうすれば?>

●「濃い尿を作らないようにする」には、水分摂取量を増やす。

■ウエットフード(缶詰、パウチ製品)を多く与える。

  • ウエットフードを与えることは、固形成分と水分を一緒に与えていることになるので、水分摂取量が増える。
  • 子猫の時からウエットフードを食べてくれる猫になるように食事管理する。
  • 「ちゅ〜る」などの商品は水分補給に適しているので、これらをおやつとして与える。
  • 水を飲む機会を増やす。

    →水飲みの器の数を増やす。
    →食事の器と水飲みの器の場所を離して置く。
    →猫ちゃんの好きな飲み方を見つける(猫ちゃんによっては流水を好む場合もあるので、このような猫ちゃんには循環式給水器などを使うなど)。

■トイレを快適に!:おしっこを我慢しないような生活環境を作る。

  • いつでも快適におしっこができるようにすることで、有害物質を含む尿の膀胱内滞留時間を短くする。
  • トイレの数は複数:理想は猫ちゃん1頭につきトイレは2個。
  • トイレの大きさ:猫の体長の1.5倍以上の広さがあるもの。
  • トイレの場所:猫ちゃん自身が人の目が気にならない、同居動物に排便・排尿中にちょっかいを受けない、洗濯機ような大きな音が出るものがなく、猫ちゃんがひとりで落ち着ける空間に置く。
  • 猫砂:成分が鉱物系(主にペントナイト)、無香料、固まるタイプが望ましい。
  • トイレは清潔に保つ!:掃除は1日2回。猫砂は1週間で全交換する。

●ストレス対策:猫にストレスを感じさせない環境を作る

■猫ちゃんはどのような事にストレスを感じているのか?

  • 加齢性の変形関節症、尿管結石、不整脈などの潜在的な病気の痛み。
  • トイレに問題があり、排便/排尿を我慢するような状況。
  • 生活空間に不慣れな人(ご本人は猫ちゃんを愛しているのですが、里帰りしたお子さん、出張中のお父さんの一時帰宅、新しく生まれたお孫さんなど)がやってくる事。
  • 生活空間が家庭の一部に制限され、自由を制限されたと感じた時。
  • 自宅やご近所のリフォーム工事に伴う人の出入りや物音。
  • 新たに加わった猫ちゃんの存在、同居している猫同士の相性が悪いなど。
  • 留守番の時間が長かったり、ご家族とのコミュニケーション不足を感じた時。
  • 動物病院への通院頻度が高かったり、動物病院での治療行為。

上記のようなストレス要因が存在するかどうかをご家族で検討して、それぞれのケースにおいて可能な範囲で、猫ちゃんにストレスのない環境改善策を実施する。

<猫ちゃんのストレスを軽減するひとつの提案>

●合成フェロモン製剤「フェリウェイ」の利用

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「フェリウェイ」は猫のフェイシャルフェロモンF3類似縁化合物を含む『フェロモン製剤』です。フェイシャルフェロモンF3とは、猫がお気に入りの物などに頬をこすりつける行為で生活環境中に分泌されるフェロモンです。このフェロモンは、猫の縄張りの維持やマーキング行動と関連があり、猫に安心感を与え、落ち着かせ、ストレスを緩和させる作用があります。
速効性はありませんが、猫ちゃんに安心できる(ストレスのない)生活環境を作ってあげるために、焦らずに根気よく試してみてください。

<食事に関しては>

ヒルズ社のプリスクリプション・ダイエット:「<猫用>c/dマルチケアコンフォート」は、猫の尿ケアをサポートする特別療法食で、特発性膀胱炎再発時の89%のケアに役立つこと科学的に証明されています。
この療法食に含まれているL-トリプトファンは不安や興奮を抑制するセレトニン物質で、加水分解ミルクプロテインは脳内のGABA受容体に結合し、ストレス症状を軽減する効果があります。また、膀胱内の炎症の悪循環を断ち不快症状の軽減に役立つオメガ-3脂肪や、膀胱内壁粘膜組織を構成するグリコサミノグリカンが配合されています。
また、この療法食はストラバイトおよびシュウ酸カルシウム結石にも対応しており、塩分も控えめで長期に与えても安心。ドライとウエットタイプがあり、嗜好性も高いフードです。

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<新たに提案されている治療法>

関節炎治療剤「カルトロフェン・ベット注射液」の投与

「猫の特発性膀胱炎」では、膀胱粘膜の保護作用を示すグリコサミノグリカン層が薄い/壊れている、または、一部欠損している事が示されています。「カルトロフェン・ベット注射液」の主成分であるポリ硫酸ペントナトリウム(PPS)が、グリコサミノグリカンと構造上類似するため膀胱粘膜に対して同等の作用を発揮すると言われています。この薬は副作用がほとんどありません。
1回/1週間×4回で治療をスタートすることで、膀胱粘膜異常部の治癒促進効果が期待できる症例報告がなされています。
「カルトロフェン・ベット注射液」による補助療法の明確なエビデンスは示されていませんが、再発を繰り返すような難治症例に対しての補助的治療法になる可能性があります。

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