石堂動物病院

病院便りこのコーナーでは飼主のみなさまと動物に役立つ情報を
お伝えして行きたいと考えています。楽しみにしていてください。
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犬の体脂肪について

「下痢」って?

Q.小腸/大腸に悪影響をもたらす原因は?

ベッツドクタースペック シリーズ

(1)食事関連では…

  • 新しいフードやおやつへの切り替え
  • 消化の悪いものや脂肪分の多い食事
  • アレルギー(先天的なアレルギー体質)
  • 食べ慣れない人の食べ物を与える
  • 過食(食事量が多い)
  • 誤食/拾い食いなど
  • 水分の過剰摂取
    (氷、トマト/キュウリなどの夏野菜)

これらの食事関連のことが消化管運動の亢進を引き起こす可能性があります。
消化管運動が亢進すると、吸収されるべき消化物内容が消化管内を素早く流れてしまいます。その結果、腸管粘膜との接触時間が短くなり、水分の十分な吸収が行われなくなり、下痢を引き起こします。

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(2)環境の変化やストレス/緊張

  • 季節の変わり目や引っ越しなど
  • ペットホテルやペットサロンの利用
  • 大きな音(花火、工事の騒音)

幼齢/高齢の動物は免疫力が弱く、新しい生活環境の変化にすぐに慣れないことがあります。また、ペットホテルやトリミングサロンなどの初めての体験もストレス/緊張の原因となります。これらのことは、ヒトの「過敏性腸症候群」と呼ばれるものと同じで、消化管運動の亢進を引き起こし、下痢を誘発する可能性があります。

(3)消化管内寄生虫

回虫、鉤虫、鞭虫などの消化管寄生虫、コクシジウム、ジアルジアなどの原虫は、腸管粘膜の炎症を引き起こし、消化管における水分の吸収障害、組織液などの炎症性産物の増加による分泌物増加を引き起こします。その結果、消化管内の水分が増え下痢を引き起こします。

免疫抑制剤:シクロスポリン

(4)細菌感染/ウイルス感染

病原性の大腸菌やサルモネラ菌などによる細菌感染症は、正常な腸内細菌叢のバランスを崩し、粘膜の炎症を引き起こします。また、生体が細菌毒素を希釈して体外に排泄しようとして消化管内への水分分泌が増加することで下痢が引き起こされます。
ときに消化管の炎症が重症化すると腸管からの出血が起き、タール状やジャム状の軟便〜下痢便が見られることがあります。また、炎症により消化管の運動が停滞すると、腸内細菌の異常増殖によって下痢が起こり慢性化することもあります。腐ったものを食べたせいの食中毒も細菌感染のひとつです。
ウイルス感染はパルボウイルス/コロナウイルス感染症などです。ウイルス感染による腸炎が下痢を誘発します。パルボウイルス感染症は致死的なウイルス性腸炎で、下痢便の臭いが強烈であり、血が混じった血便を示します。パルボウイルス感染症は、ワクチン接種をしていれば予防できる病気です。

(5)内臓疾患

多様な内臓疾患の症状のひとつとして下痢が認められます。下痢を症状とする内臓疾患は数多く、下痢の発生機序も多様で、ここで全てを説明することができません。
下痢を症状のひとつとする代表的な病気のいくつかを説明します。

  • 甲状腺機能亢進症(猫)
    8歳以上の高齢猫に発生する甲状腺ホルモンの分泌異常が原因となる内分泌(ホルモン)疾患です。ホルモンの異常分泌によって、消化管運動の亢進が引き起こされ下痢を誘発します。
  • リンパ腫
    リンパ腫は主に小腸に発生する消化管腫瘍のひとつで、犬よりも猫での発症が多いと言われています。腫瘍により消化管粘膜の破壊(粘膜上皮の剥離や絨毛の萎縮など)・炎症が起こることによって、吸収障害や腸管内に炎症性産物が増加し下痢を誘発します。
  • 大腸の腺癌/腺腫
    大腸に発生する消化管腫瘍です。大腸の粘膜組織が破壊されることで、大腸での水分吸収が妨げられ下痢を引き起こします。また、腫瘍によって大腸粘膜が破壊され、出血が起きることがあるので時に血便を認めます。
  • 膵炎
    膵臓から分泌される膵液や肝臓から分泌される胆汁の分泌不全が起こり、その結果、脂肪などの分解・吸収が損なわれ、便中の脂肪含有量が増加することで下痢を誘発します。
  • 慢性腸症
    リンパ管拡張症や炎症性腸炎(IBD)と診断される腸炎です。腸管の炎症により腸管の血管透過性の変化などが起こり、腸管内にタンパク成分が漏れ出すことによって腸管内の水分が増え、下痢および腹水が発生します。

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