石堂動物病院

病院便りこのコーナーでは飼主のみなさまと動物に役立つ情報を
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「てんかん」ってどんな病気?

「てんかん」の分類

<原因による分類>

(1)特発性てんかん
MRI検査によっても、脳に病変が認められないにも関わらず発作を生じるタイプ。「特発性」とは原因がはっきりしないという意味。遺伝的な素因が原因と考えられる(先天的な)てんかん体質(真性てんかん)の症例はここに属します。特発性てんかんは、けいれん発作以外の症状は示しません。1~5歳に多く認められます。
(2)症候性てんかん
MRI検査によって、脳に何らかの異常/病変(腫瘍、脳炎、奇形=水頭症など)が認められ(器質的な病変が存在する)、それがてんかん発作の原因になっているタイプ。「構造性てんかん」とも呼ばれます。てんかん発作の他に種々の神経症状(四肢不全麻痺、行動の異常、性格の変化など)を呈します。1歳未満と6歳以上に多く見られます。

<主な器質的な脳の病気の発症時期>

  • 水頭症:幼齢〜若齢(中央値1歳3ヶ月齢)
  • 脳腫瘍:高齢(中央値10歳10ヶ月齢)
  • 脳 炎:幼齢〜高齢(中央値5歳4ヶ月齢)

<てんかん発作の症状による分類>

てんかん発作は、大脳の電気的な興奮が発生する場所によって様々な症状を示します。

(1)全般(全身)性てんかん発作
脳の全域で一斉に電気的な興奮が始まるてんかん発作、症状は両側性に全身に現れ、意識の消失を伴う。全身がピーンと突っ張ったようになりけいれんする「強直発作」、全身がガクガクと一定のリズムでけいれんする「間代発作」、硬直と間代が同時に起きる「硬直間代発作」、犬かきのように手足を動かす遊泳運動を示すものなどがあります。

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(2)焦点性てんかん発作(部分発作)
脳の局所で始まる発作で、発作開始の徴候はいつも同じです。てんかんと思われる発作症状が体の一部(部分的)に現れ、意識が消失しないものから意識消失を伴うものまでさまざまな症状がみられます。例えば、口をパクパクしている、片側の前足のみにけいれんや麻痺のような症状が現れるなどです。時に発作部位が拡がることがあり、全般化することもあります(二次性全般化)。

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(3)その他の特殊な発作
  • 複雑部分発作:
    意識がある場合もない場合もある。意識がない状態で全身けいれんを伴わず、流涎、口をくちゃくちゃしたり、突然走り廻る、旋回する、無生物などを攻撃するなどの特殊な行動など、いろいろな症状があらわれる。
  • 欠伸(けっしん)発作:
    けいれんや脱力が起こらず、非常に短時間の意識消失が突然起こる。
  • 脱力発作(カタプレキシー):
    興奮や喜びなどの感情に伴い、姿勢を保つ筋肉が突的に弛緩し、力が抜けたようになり、勢いよくバタッと倒れる。
  • 睡眠発作(ナルコレプシー):
    「突然強い眠気に襲われる」ことを特徴とする睡眠障害
  • ミオクロニー発作:
    足や顔など体の一部、または全身の筋肉が瞬間的に大きくピクッと収縮する。単発で生じることも、反復性に生じることもある

てんかんの症状を詳しく観察すると、発作前症状→発作→発作後の症状が認められ、この一連の流れを正確にチェックすることで、その症状がてんかん発作であると判断できる可能性が高くなります。てんかん発作を起こした時に、ヨダレを垂らす、おしっこ/ウンチを漏らすなどの症状が見られることもあります。

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てんかん発作そのものは見ていると長く感じますが、実際には、多くが数十秒から1〜2分で終わります。そして、発作後のもうろうとした状態を脱すると完全にいつもの状態に戻ります。このようなタイプのてんかん発作は、一般的に死亡の危険性は非常に少ないと言われています。 しかし、1日に何回も発作が起こる「群発発作」や、1回のてんかん発作が5~10分以上続くような発作(重積発作)を示す症例においては、死亡する場合があります。

犬の「てんかん」の約50~60%が特発生てんかんと考えられています。
猫の「てんかん」は約70~90%が症候生てんかんと考えられており、特に猫のてんかん発作では、複雑部分発作が多いと言われています。

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