石堂動物病院

病院便りこのコーナーでは飼主のみなさまと動物に役立つ情報を
お伝えして行きたいと考えています。楽しみにしていてください。
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「てんかん」ってどんな病気?

<治療>

「てんかん」という病気の治療の基本は、抗てんかん薬を投与することでてんかん発作をコントロールする対症療法で、病気そのものを完治させるわけではありません。
てんかん治療の目的は、

1)てんかん発作の繰り返しによって、脳組織が神経細胞死により損傷することを防ぐ
2)てんかん発作の時間を短く、発生回数を少なく、症状を軽くする。

→50%の原則:発現頻度、持続時間を半分に
 →てんかんの重篤化/難治化を予防する

「てんかん」と診断され、3ヶ月で2回以上のてんかん発作が見られるようなら、抗てんかん薬による治療を開始するべきと言われています。いつ発生するか予測できないてんかん発作に対して、抗てんかん薬を生涯を通して毎日投与することが必要です。勝手に投薬をやめると予 測できないアクシデントが発生する可能性があります。

動物用の抗てんかん薬として「コンセーブ錠」(成分:ゾニザミド)というお薬があります。
このお薬は、特発性てんかんのてんかん発作をコントロールします。コントロールに十分な血中濃度であるかどうかを血液検査で測定でき、長期間、安全に投与することができるお薬です。

症候性てんかんの場合にも抗てんかん薬を投与します。例えば、「イーケプラ錠」(成分:レベチラセタム)などです。「イーケプラ錠」は、血中濃度の測定はできませんが、効果発現が早く副作用がほとんどありません。

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抗てんかん薬の投与と同時に、脳内病変に対しての治療が併用される場合もあります。腫瘍に対しての抗がん剤/ステロイド投与、または外科的治療。水頭症に対しての利尿薬投与、または外科的治療。脳炎に対してのステロイド/抗生物質投与などがそれに当たります。

てんかん重積は非常に危険な状態で、放置すると多大な発作性脳損傷(神経細胞死)が生じます。そして、脳浮腫?脳ヘルニアに至り死亡します。てんかん重積が認められた場合には、直ちに治療を開始する必要があります。けいれんや遊泳運動のような異常運動を止める目的で抗てんかん薬を静脈注射します。複数回の抗てんかん薬の静脈投与によってもけいれんがコントロールできない場合は、最終手段として脳を休めせるために麻酔薬を用いて全身麻酔を行うこともあります。
抗てんかん薬療法を行うことで、愛犬とご家族の不安や苦痛を和らげることができ、生活の質(Quality Of Life)をよりよくすることが可能になります。

<自宅でのてんかん発作に対する対応は?>

(1)通常は数分で落ち着くはずなので、冷静に対応する。
(2)てんかん発作によって頭にさらなる障害が起きないように、周りのものを取り除く、または、咬まれないように注意しながら毛布などを使って抱きかかえる。
(3)可能であれば、携帯電話などを使って、てんかん発作の状況を動画で撮影しておく。
(4)再発予防の緊急時用のお薬(例えば、座薬:ジアゼパム)をもらっている場合には、投与して「次」の発作が起こらないようにする。
 ・座薬:ジアゼパム:効果発現までに少し時間がかかる。冷暗所での保管が必要。

<「特発性てんかん」を持った犬のための療法食>

この度、国内唯一の特発性てんかんをもつ犬のための療法食が、ネスレ ピュリナ ペットケア(ネスレ日本株式会社)から販売されました。

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療法食「ニューロケア」は「犬の特発性てんかん」および、「犬の認知機能低下症」のためのフードです。坑発作作用(てんかん発作の頻度を減らす能力)を持つ中鎖脂肪酸が配合されていることが特徴です。中鎖脂肪酸はグルタミン酸受容体を阻害することで、抗発作作用を示すと言われています。実際の研究で多くの特発性てんかんの犬で発作頻度が減少したというデータがあります。また、犬の認知機能低下症に対する研究でも、見当識障害や睡眠サイクル、不適切な排泄などの症状の改善が示唆される結果となっています

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