犬の体脂肪率について
昨年の春から2ヶ月にわたって当院の飼い主さんにも協力を頂きまして、犬の体脂肪計を用いた体脂肪率の調査結果の第1弾が犬用の体脂肪計を開発した花王(株)より公表されました。全国37病院で2,247頭(62犬種)の犬の体脂肪率が測定されました。今回は、その調査でわかってきた内容をご報告します。
今回の調査測定時に仮の体脂肪率の平均値としていた数値22%(ヒトの平均体脂肪率)よりも犬の平均体脂肪率はやはり高めでした。服を着ていない犬たちの方が防寒対策として皮下脂肪(体脂肪)を蓄える必要がきっとあるのでしょう。29.2%という数字はあくまでも調査に参加した犬全体の平均値です。犬種毎の平均体脂肪率を出すにためにはもっと多くの犬を測定して詳細なデータを出す必要があります。今後も調査が続けられて、もっと多くの事がわかるようになればいいですね。
未去勢オス、未避妊メス、去勢オス、避妊メスの順で高くなる
やはり、いつも私たち獣医さんが感じているように、去勢手術・避妊手術によって体脂肪率が増加することが明きあらかになりました。そしてメスの体脂肪率は30.8%、オスは27.6%と性別による差も存在しました。 今回の結果から去勢・避妊手術をしない方が良いということではありません。 去勢・避妊手術を行うことによって性ホルモンに関連した疾患の予防は確実にできます。去勢・避妊手術後は肥満傾向になるという事をしっかりと理解して、手術後の食事および生活習慣を考える必要があるということです。
今回の調査のおける1歳犬の平均体脂肪率は約25%です。 でも、その後、年齢の上昇とともに体脂肪率が増加しますが、これは去勢手術や避妊手術の実施のせいだけではなく、年齢とともに運動量や筋肉量が低下し、消費エネルギーが低減するにもかかわらず、摂取エネルギー(食事量)を制限しないためと考えられます。 体脂肪率の増加を防ぐためには、適切な運動をさせて筋肉量と消費エネルギーの低減を防ぐとともに、食事量や食事内容を年齢に応じたものに変更して摂取エネルギーを制限しエネルギーの収支のバランスを保つことが必要になります。