ネコの腎臓病について
高齢のネコの病気でもっとも代表的な病気に腎疾患があります。
ネコは本来ライオンやトラなどと同じ肉食性の食事を取る動物です。ネコの市販フードは雑食性のイヌのフードよりタンパク含有量が多くなっているのが普通です。高タンパク食を続けていると腎臓への負担が大きくなり腎疾患になりやすいと言われています。
このため近頃の高齢動物向けのフード(シニア用)は良質のタンパク質を少量含む成分とすることで腎臓病対策としているものが多くなってきました。
腎臓は血液中の老廃物・有害物質を尿に溶かして体外に排泄する、血液の濾過機能がもっとも重要な働きです。
これらの働きの場所となるのが腎臓の「ネフロン」と言われる組織です。腎臓はこのネフロンと言われる組織が集まった臓器なのです。この血液の濾過機能は10歳を過ぎると急激に低下すると言われています。
また、腎臓はその他にも以下のような働きをもっています。
腎臓病は腎臓のネフロンの障害の程度によって、「一過性の腎機能低下」、「腎不全の予備軍」、「慢性腎不全」、「急性腎不全」、「腎不全の末期」などと様々です。これらの違いは症状と血液検査、尿検査などの結果から総合的に判断します。
では、その病態の違いはと言うと…、簡単に解説しますね。
脱水や食欲不振が続いて、腎臓の血液循環量が低下したことにより一過性に腎機能検査の項目に異常が認められる状態。ほとんどの場合が数日の点滴治療で正常に戻ります。
尿検査で慢性的な低比重尿が続く以外、症状らしきものが認められません。「少し食欲がないかなあ〜」や「毛づやが悪くなったかな〜」程度の異常しか感じられないような段階です。この段階で早期発見できれば、早期治療が可能性になります。
ネフロンの多くが破壊されて元に戻らないような状態です。血液検査では腎機能の異常値が持続し、腎機能の50%以上がすでにダメージを受けていることが予想されます。この段階であれば、点滴や投薬、食事療法などを平行して行い、病気の進行を少しでも遅らせることを目標とする治療となります。
何らかの原因でおしっこが作られない救急疾患です。慢性腎不全とはまったく違った病態で、どの年齢のネコにも発生します。治療が上手くいかなければ死ぬ可能性もある疾患です。
腎臓の濾過機能が働かず、血液中に老廃物が貯まって、脳内にも悪影響をおよぼすことで「尿毒症」と呼ばれる神経症状(てんかん発作など)が出たり、腎性の貧血が認められる状態です。全身状態も悪く、食欲不振からまったく食べない状態になりネコはやせ細ってき、最期の時が迫っている時期です。