ネコの腎臓病について
動物の腎不全は非常にやっかいな病気です。ヒトの場合には慢性腎不全が内科的にコントロールできなくなると、「人工透析」という方法で血液を濾過することが可能です。さらに深刻な症例の場合には腎移植という方法も存在します。
しかし、残念なことに動物の医療レベルでは「人工透析」の方法さえ確立されていません。私たちの日常診療で腎不全を見つけた場合は病気が相当進んだ状態であることが多いのです。
その段階での治療は、
今、獣医さんたちは「腎不全の予備軍」の段階で腎疾患を見つける方法を探しています。いくつかの新しい検査方法が発表されていますが、その検査は大学の研究室でないとできなかったり、費用が高価であったりして実際に行うにあたっては少し問題があります。
そこで、簡単で費用のかからない検査として見直されたものが尿検査です。尿検査を数回実施して、尿の濃縮機能の低下によっての低比重尿(薄いおしっこ)の持続が確認できれば、「腎不全の予備軍」と考えられます。尿中たんぱくが同時に確認されれば、「慢性腎不全」と判断します。
腎臓機能は10歳を過ぎると急激に低下し、「腎不全の予備軍」となるので腎疾患の早期発見には、定期的な尿検査を!
「腎不全の予備軍」の段階で病気を発見できれば、腎疾患用の処方食を用いた食事療法を開始して、同時に消化管から血液の老廃物を吸着・排泄させる薬を与えることにより、腎臓の負担を少しでも軽くします。その結果、腎臓の機能を温存して慢性腎不全への進行を少しでも遅らせる事が可能になります。残念ながら、今の獣医療のレベルでは病気の進行を遅らせることしかできません。
もっとも有効な腎不全対策は、定期的な尿検査によって早く病気を見つけて、できるだけ快適な生活が長くできるように病気の初期から、食事療法・内科療法を開始することです!!
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