成功させるぞ!ダイエット大作戦
近頃,動物病院に来院する動物達において,犬,猫とも肥満傾向の動物が多く見られるようになりました.動物病院に来院する犬のうち,約50%以上が肥満または太りすぎで,猫では約45%以上が肥満または太り過ぎといわれています(日本ヒルズ社の調査より).肥満とは,機能的には「体脂肪が健康もしくは正常な機能を障害する状態」であり,量的には「理想体重を15〜20%上回っている状態」をいいます.犬や猫の場合,品種,家系,性別によって体型が異なるため,理想体重は確立されておらず,一般的にはボディー・コンディション・スコアや体脂肪計による皮下脂肪の蓄積状態によって評価されます.
肥満をさらに専門的に分類すると,単純性肥満と症候性肥満に区別できます.
単純性肥満はエネルギーの多量摂取が原因としか表現できない肥満です.単純性肥満は,さらに分けると,脂肪細胞の大きさが大きくなった細胞肥大型肥満と,脂肪細胞の数が増えた細胞増殖性肥満があります.一般的には,成熟後の動物に生じる肥満は細胞肥大型肥満ですが,成長初期から成熟期にかけては細胞増殖型肥満が起きやすいです.いったん増殖した細胞数を減らすことはできないため,細胞増殖型の肥満は治療が困難な場合が多いです.それゆえ,成長期の犬猫の肥満を防ぐことは非常に重要であると言えます.
症候性肥満は,遺伝的疾患に伴う肥満や,内分泌,あるいは神経学的な原因に関わる肥満を示します.猫では症候性肥満は比較的少ないようですが,犬では内分泌疾患が多いためしばしば見られます.
統計的には,ミニチュア・ダックスフンド,ゴールデン・レトリバー,ラブラドール・レトリバー,シーズー,ビーグル,パグ,シェットランド・シープドッグ,コッカースパニエルなどが肥満傾向の高い犬種と言われています.