石堂動物病院

病院便りこのコーナーでは飼主のみなさまと動物に役立つ情報を
お伝えして行きたいと考えています。楽しみにしていてください。
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☆肥満とは…

近頃,動物病院に来院する動物達において,犬,猫とも肥満傾向の動物が多く見られるようになりました.動物病院に来院する犬のうち,約50%以上が肥満または太りすぎで,猫では約45%以上が肥満または太り過ぎといわれています(日本ヒルズ社の調査より).肥満とは,機能的には「体脂肪が健康もしくは正常な機能を障害する状態」であり,量的には「理想体重を15〜20%上回っている状態」をいいます.犬や猫の場合,品種,家系,性別によって体型が異なるため,理想体重は確立されておらず,一般的にはボディー・コンディション・スコアや体脂肪計による皮下脂肪の蓄積状態によって評価されます.

肥満をさらに専門的に分類すると,単純性肥満と症候性肥満に区別できます.

単純性肥満=食べ過ぎが原因の肥満

単純性肥満はエネルギーの多量摂取が原因としか表現できない肥満です.単純性肥満は,さらに分けると,脂肪細胞の大きさが大きくなった細胞肥大型肥満と,脂肪細胞の数が増えた細胞増殖性肥満があります.一般的には,成熟後の動物に生じる肥満は細胞肥大型肥満ですが,成長初期から成熟期にかけては細胞増殖型肥満が起きやすいです.いったん増殖した細胞数を減らすことはできないため,細胞増殖型の肥満は治療が困難な場合が多いです.それゆえ,成長期の犬猫の肥満を防ぐことは非常に重要であると言えます.

症候性肥満=何らかの病気によって生じた肥満

症候性肥満は,遺伝的疾患に伴う肥満や,内分泌,あるいは神経学的な原因に関わる肥満を示します.猫では症候性肥満は比較的少ないようですが,犬では内分泌疾患が多いためしばしば見られます.

■肥満の原因・要因はどんなことなのでしょうか?

  1. 過食:高カロリーの食事をたくさん食べる動物は体重増加の傾向があります.本来の食事以外に人の食べ物をもらったり,おやつをもらうことで過食傾向になります
  2. 避妊・去勢の結果として:ホルモン分泌の変化や活動性の低下による体重増加の傾向があると言われています.
  3. 運動量の減少:室内で生活する動物が増えた結果,運動量が減って消費カロリー量が減少し,太る傾向にあります.
  4. 年齢:加齢に伴って基礎代謝率が下がり,人と同じように体重増加が認めらます.

■肥満傾向の高い犬種は?

統計的には,ミニチュア・ダックスフンド,ゴールデン・レトリバー,ラブラドール・レトリバー,シーズー,ビーグル,パグ,シェットランド・シープドッグ,コッカースパニエルなどが肥満傾向の高い犬種と言われています.

■肥満および肥満傾向の動物は下記のような様々な病気になりやすいと言われています

  • 糖尿病:猫は肥満により糖尿病になりやすい
  • 骨格系疾患(関節の痛みなど):運動機能障害(関節炎など)
  • 心臓血管系疾患(高血圧など)
  • 呼吸障害→手術時の麻酔のリスクが上がる:麻酔手術時の覚醒遅延
  • 腫瘍(がんなど)のリスクが高くなる:免疫機能の低下
  • 皮膚障害
  • 膵炎:膵臓からの外分泌が盛んになるため、肥満動物での膵炎は多いようです
  • 脂肪肝:猫では、肥満した猫が病気などで低栄養状態になると、急激に脂肪肝を引き起こしやすくなります。急性の脂肪肝は治療しないと致死的な場合もあります
  • 高脂血症

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