「てんかん」ってどんな病気?
「てんかん」以外にもけいれん発作を起こす病気は多くあり、また、けいれんに類似した失神/虚脱など示す病気も多くあります。けいれん発作=てんかん発作と決めつけずに、「てんかん」とこれらの病気を区別するために、そして症候性てんかんと構造性てんかんを識別するために以下の検査が必要になります。
①問診:動物のプロフィールとてんかん発作の状況の聞き取り②身体検査/神経学的検査
けいれん発作の原因となる可能性がある病気を探し出す検査です。例えば、聴診で心雑音が認められた場合、心臓病や不整脈によって脳虚血状態が引き起こされ、けいれん発作や失神が発生することがあります。チワワなどでは頭頂部に小さな穴(大泉門)が触知されることがあり、その場合には水頭症の存在が疑われます。水頭症はけいれん発作を引き起こす奇形疾患のひとつです。
神経学的検査では、意識レベル、眼振の有無、歩様状態、神経反射や知覚の状態、運動能力を調べます。特発性てんかんの症例ではこの検査では異常が認められませんが、症候性てんかんの場合には異常が認められます。
非てんかん性発作によるけいれんを症状とする先天性奇形疾患、低血糖や尿毒症、肝性脳症(門脈体循環シャント)などの代謝性/中毒性疾患、脳炎を疑わせる炎症性疾患/感染性疾患、脳転移を含む腫瘍性疾患などの有無を調べます。
必要に応じてホルモン系の検査などを行うこともあります。
上記の検査でけいれん発作の原因として脳の異常が疑われた場合には、専門施設などでMRI検査を行います。この画像検査で病変が認められない場合には「特発性てんかん」、何らかの病変(例えば、腫瘍、水頭症、脳梗塞、脳炎など)が認められたら「症候性てんかん」と診断されます。
さらに、追加検査として脳波検査が行われることがあるかもしれません。
また、感染性脳炎の検査として脳脊髄液検査が行われることもあります。