猫のよもやま話1:「猫のしっぽ」について
江戸時代の人たちの生活や文化を表現した日本独特の芸術に浮世絵というものがあります。浮世絵の中ではこれまで描かれることの少なかった猫の姿をよく見ます。喜多川歌麿という江戸時代の美人画の絵師は、立ち姿の美人の裾や帯に戯れている猫をよく描いています。その尻尾に注意すると面白い変化がわかってきます。歌麿の作画活動の前半の猫の尾は細く長い、後半、特に晩年(1800年代)の作品の猫の尾は短く曲がっています。
歌麿から約50年後に、歌川国芳という画家が現れました。国芳は無類の猫好きであったらしい。50歳頃の作品のひとつに「猫飼好五十三疋(みゃうかいこうごじゅうさんびき)」という戯画があります。安藤広重の「東海道五十三次」のパロディで、宿場町の名前とダジャレを組み合わせた猫版東海道五十三次の絵です。どういうダジャレかと言うと、例えば「日本橋」は鰹節二本で「日本だし」で始まり、捕まったネズミの叫び声の「ぎゃう」で「京」として終わるというような感じです。そして、この絵の中の猫の尾は7割が短く曲がり、残りは長く描かれています。ということは、江戸時代の末期頃には多くの日本猫の尻尾は短く曲がっていたのではないだろうか?
<歌川国芳の親父ギャグ炸裂! お猫バージョン「猫飼好五十三疋」>
原画は著作権の問題があって、ここには掲載できませんので私の絵でお楽しみください。
興味のある方は、下記ののHPアドレスからアクセスしてお楽しみください。なかなか面白いですよ。
https://www.adachi-hanga.com/hokusai/page/enjoy_112