猫のよもやま話3:「招き猫」のお話
今回は、皆さんもよく知っている「招き猫」についてのお話です。
招き猫とは、前足で人を招く商売繁盛の縁起物の猫の置物で、右手(右前足)を挙げている猫は「金運」を招き、左手(左前足)を挙げている猫は「人・客」を招くとされています。両手を挙げたものもありますが、“欲張りすぎると「お手上げ万歳」になるのが落ち”と、ちょっと敬遠されることがあります。
この「招き猫」の由来には諸説ありますが、今回は最も有名な東京都世田谷区の豪徳寺が発祥の地とする豪徳寺説をご紹介します。
江戸時代に彦根藩第二代藩主の井伊直孝が、鷹狩の帰りに弘徳院という小寺の前を通りかかりました。そのとき、この寺で飼われていた猫が門前で手招きするような仕草をしたため、藩主一行は寺に立ち寄り休憩しました。すると豪雨が降り始め、雨に降られずに済んだことを喜んだ直孝は、寛永10年(1633)、弘徳庵に多額の寄進をして井伊家の江戸の菩提寺と定め、弘徳庵は大寺院の豪徳寺になったと言われています。
また、同じ豪徳寺説でも別の話もあります。
直孝一行が豪徳寺の一本の木の下で雨宿りをしていたところ、一匹の三毛猫が手招きをしていたので、直孝がその猫に近づいたところ先ほど雨宿りをしていた木に雷が落ち、猫のお陰で落雷を避けられたことに直孝は感謝し、豪徳寺に多額の寄進をしたというものです。
江戸時代の井伊家の居城は滋賀県彦根市にある彦根城で、平成19年(2007)彦根城築城400年祭イメージキャラクターとして誕生したのが有名なあの「ひこにゃん」。
「ひこにゃん」誕生には、招き猫発祥の地の豪徳寺のお話が関わっているようです。
「招き猫」に三毛猫が多いのは、三毛猫は数が少なく、三毛猫のオスは特に珍しい希少な存在で幸運を呼ぶといわれたいたためだそうです。
伝統的な白・黒の他に、赤・青・緑・黄・金・ピンクが登場し、更には紫やヒョウ柄まであるようです。
色によって意味があり、三毛は「運」・白は「福」・黒は「魔除け」・赤は「病除け」・青は「交通安全」・緑は「学力向上」・ピンクは「恋愛」・金と黄色は「金運」・紫は「長寿」・ヒョウ柄は「票」を招くとか。
また、手の挙げ方の高さにも意味があり、手が耳より高く上がっていると遠くから福を呼び、耳より低いと近くの福を呼ぶとされていて、「招き猫」の置き場所も入口や人が集まるところがいいとか、色によって違うとか、なかなか奥の深い「招き猫」です。