僧帽弁閉鎖不全症
「僧帽弁閉鎖不全症」の病気を疑う第一歩は、聴診による心雑音の確認です。 診察時に聴診を行い、この病気特有の心雑音の有無を調べます。
左胸側の僧帽弁領域に収縮期雑音が聞き取れたら、「僧帽弁閉鎖不全症」を強く疑います。 「僧帽弁閉鎖不全症」が疑われたら、確定診断を得るため、またこの病気が大きく4つ分けられるグレードのどこに属するかを判定するために、(1)胸部レントゲン検査、(2)心臓の超音波検査、(3)心電図検査、(4)血液検査を行います。これらの検査の結果を基にして、それぞれの症例に最適の治療法を考えます。
心臓の拡大の程度、心臓の変形の程度、気管や気管支、肺の状態の確認を行います。
上記のレントゲンの写真は当院のキャバリアの症例ですが、心臓の大きさの変化は一目瞭然です。
その他に、慢性の咳の原因ともなる気管や気管支の変位や肺水腫(正常な肺は乾いたスポンジの様な状態で酸素交換を行っています。肺に水が貯まり水浸しのスポンジ状態になっているのが肺水腫です。このような状態では十分な酸素交換が行えません)の有無を確認します。
僧帽弁の状態と弁の異常運動がビジュアル化されて確認できます。僧帽弁の肥厚は弁自体が白い塊状になっていることで確認できます。
また、カラードップラー法という検査方法を用いれば、左心室から左心房への血液の逆流の状態がモザイク模様で確認できます。
拡大した心臓では伝導障害(心臓の収縮を伝える刺激が上手く伝わらない)やそれに伴う不整脈が発生している可能性があるのでそのチェックを行います。
血液検査はその他に併発している病気が隠れてないか?腎臓・肝臓機能がしっかりしているか?を調べる検査です。「僧帽弁閉鎖不全症」の治療薬を投与する場合、腎臓・肝臓機能に問題がある場合にはその薬の選択、組合せを考慮する必要が出てきます。