犬の尿石症(膀胱結石)について
ストラバイト結石の治療法は、内科的治療法と外科的治療法が存在します。
内科的治療法とは、抗生物質の投与により細菌感染をコントロールし、ストラバイト結石を溶解させる療法食(例えば、ヒルズ社のS/D、ロイヤルカナン社のpHコントロールなど)のみを与え、尿を酸性にしてストラバイト結石を溶解させます。しかし、溶解するのに数週間から数ヶ月かかることもあります。
外科的治療法とは手術によって膀胱から結石を摘出する方法で、短期間で尿石症に伴う症状を解消することができます。
腎盂結石の場合は、症例の状態(腎臓の機能の程度)に応じて外科または内科療法を選択しますが、内科的コントロールを実施する事が多いと思われます。
尿道結石の場合は、排尿状態を良くしてあげるために、尿道に詰まっている結石を膀胱内に送り戻して外科手術によって膀胱から結石を摘出する事が一般的な方法です。
シュウ酸カルシウム結石は、内科的保存療法と外科的治療法が存在します。
シュウ酸カルシウム結石を溶解させる療法食が存在しません。現在の結石がさらに大きくならないように、増えないようにするための療法食は存在します(ヒルズ社のU/D)。
この療法食と必要に応じての抗生物質投与による細菌感染のコントロールを行うことが内科的保存療法となります。
外科的治療法とはストラバイト結石と同じように手術による結石の摘出法です。
膀胱結石・砂粒を内科的/外科的に取り除いた後は再発を防ぐために、結石のもととなる成分の含有量を減らし、結石ができにくい尿pHを維持するための膀胱結石用の療法食のみを与える食事療法が生涯にわたって必要となります。
さらに定期的な尿検査、膀胱のレントゲン・超音波検査を行って再発がないかを観察する必要があります。
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企画・編集 石堂動物病院