犬の認知症
障害物を取り除き,動きやすいよう安全を確保します.
認知症の犬は前進のみで後退することができなくなるので, 家具の隙間や部屋の隅などに頭を突っ込み動けなくなります.
部屋の隅はダンボール等で隅をなくします.
また,挟まるであろう所は塞ぐなどしてください.段差のある所は落ちないように柵などしましょう
フローリング等は絨毯など滑らない床にし,つまずかないように小さな段差もなくしましょう.
≪徘徊する犬の場合≫
歩き続ける犬の場合,歩みを止めると鳴き続けることが多くあります.
そこで,気が済むまで歩き続けられるように円形のサークルを作成します.
徘徊対策として柔らかいお風呂マットを数枚つなぎ合わせ円形にします.壁に沿って歩き続けるため体を痛めないような素材にしてください(円形の大きさの目安は 体長の2.5倍くらい).
お風呂マット等で作ったサークルが倒れないように外側をしっかりした素材で囲んだり,床にテープで留めるなど工夫してください.
歩き続けるため、サークル内の床は足裏に負担のかからない素材にしましょう.
とぼとぼと円形の外周に沿って歩き続け,やがて疲れて眠ります.
心臓弁膜症や腎疾患,関節疾患,甲状腺機能低下,腫瘍などの多臓器疾患を併発していることが多いので認知症だけでなく,併発疾患の管理も必要となります.
また,予防的、定期的な健康診断を受けましょう.
日々のお世話で感じた変化を書き留めておくといいでしょう.
食事の内容や量,おしっこやウンチの回数の記録も大切な情報です.
食べる、飲む動作をしていても実際にはちゃんと食べられていない・飲めていないことがあります.
定期的に体重を測定し,飲み水は残量をチェックして栄養失調や脱水にならないように注意してあげてください.
食器は首に負担のかからない高さに調節し,食器が滑らないように工夫をしてください.
自力で食べられない場合、家族の方がスプーン等で口に運んであげてください.
ちゃんと見えていなかったり,力加減が出来なくなっていることが多いので,食べ物を食べる勢いでスプーンごと噛むことがあります.(手であげる時は特に注意してください)
噛んだ衝撃が少なく,壊れない丈夫なスプーンなどがあれば便利です.
日光には生体時計を調節する効果があるので,日光浴をしたり無理のない程度に散歩をしましょう.
運動だからと言って無理に引っ張ったり,長距離を歩くのは控えてワンちゃんのペースでゆっくり付き合ってあげてください.
歩くのが難しい場合,抱っこをしたりカートを使ったりして外の空気に触れさせてあげましょう.
夏の暑い時間は避けて,熱射病にならないように気を付けてください.