犬の認知症の治療
犬の認知症とは、正式には「高齢性認知機能不全症候群」と言われるもので、かつては「痴呆症」と呼ばれていました。老化に関連した症候群(いくつかの異常が同時に起こっている状態)であり、認知能力の異常、刺激への反応低下、学習・記憶の欠損などの症候(病気の時に現れる様々な異常)を示すものです。
犬の認知症に関しては30年以上前よりその存在は知られており、この病気に対する日本での研究も発表されていました。日本の研究では、認知症の発生は柴犬および柴犬系の雑種に多く発生すると言われていました。しかし、現在の世界的な研究報告では、認知症の発症リスクは犬種、性別にはなく、小型の犬の方が発症リスクが高いと言われています。大型犬は寿命そのものが短いために認知症の症例を見ることがありません。11~12歳の犬の約28%、15~16歳の約68%が1つ以上の認知低下の兆候を示すと報告されています。2つ以上の兆候を示すものは、11~12歳の犬の約10%、15~16歳の犬の約35%と報告されています。
これらの症状は認知症の症状ではなく、問題行動や正常な「老い」に伴う変化と思われている場合が多く、そのために、認知症の診断が遅れる場合がよくあるようです。