動物の腫瘍のお話(その2)
年齢14 歳、体重21.8kg の屋外で飼われていた雄の中型雑種犬。
「約1ヶ月前から咳が出ていて、この頃痩せてきた」ということで来院。
胸部のレントゲン検査を行うと心臓の前方(縦隔部)に腫瘤を確認(下写真)。血液中にも腫瘍細胞を認めたので縦隔型リンパ腫と診断した。
ご家族の希望により、サイクロフォスファミド/プレドニゾン併用療法による保存的治療を開始したが7日目に死亡した。
亡くなる前日までは食欲は維持できていた。
10 歳10 ヶ月、体重20kgの避妊済みのメスのシェルティー。
「おしりにでき物がある」ということで来院。右腰に直径2.5cm のしこりを確認した。細胞診によりリンパ球系の腫瘍細胞を認めた(右写真)ので外科的切除を行い、 病理組織検査を行った。
検査の結果より皮膚型リンパ腫と診断した。
外科的切除によって腫瘍病は完全切除されているとの判定だったので、術後の化学療法は行わなかった。
初診日から29日後に胸部背中に直経3cmのしこりを確認し、細胞診の結果、前回と同じような腫瘍細胞を認めたのでリンパ腫の転移再発病巣と診断した(右写真)。皮膚以外への転移病巣が認められなかったので2回目の外科的切除を行い、病理組織学的検査と遺伝子検査を行い、T細胞性リンパ腫であることを確認した。
76日後の左前肢内側に皮膚リンパ腫の再発が確認されたが、80日目に腫瘍以外の病気で死亡した。