動物の腫瘍のお話(その2)
近年、リンパ腫の診断時に腫瘍の由来がリンパ球のB細胞なのかT細胞なのかを判定することが多くなってきています。リンパ球にはB細胞やT細胞と呼ばれる種類があります。犬のリンパ腫の症例の多くがB細胞またはT細胞が腫瘍化し増殖したものです。
B細胞なのかT細胞なのかを判定することで化学療法に対する反応やリンパ腫の予後が予測できると言われており、より適切な治療法の提案や、予後を正しく説明するために必要な検査となってきました。
そのための検査として、動物病院で行われる細胞診によって腫瘍細胞の形態を観察することで、B細胞かT細胞かを判断する判定基準(新キール分類法)が利用されるようになってきました。また、血液やリンパ節組織を材料とした遺伝子検査が補助的検査として利用されるようになってきています。
また、今までのリンパ腫に対する化学療法は、6ヶ月から1年と長期間続けるものが主流でした。
近年、抗癌剤の投与期間が25週であったり、19週である新しい治療スタイルが報告されています。これらの新しい治療スタイルでも従来の治療法と治療成績に大差がないと報告されています。再発した場合は、同じ治療を繰り返すことで再度コントロールすることが可能とも言われています。
この新しい治療スタイルは治療にかかわる時間的、経済的負担を軽減できるものであり、これからのリンパ腫の化学療法の主流になっていくかもしれません。
<前のページへ│次のページへ
企画・編集 石堂動物病院