心臓の病気のお話(その2)
フィラリア症(正確には犬糸状虫症)とは愛犬の命を脅かす恐ろしい病気のひとつです.フィラリアとは心臓に住みつく寄生虫の名前です.この寄生虫は蚊の媒介によって犬の間で感染を成立させます.そして,この虫が心臓や肺の血管に住みつくことによって、咳、呼吸困難、運動不耐性、腹水などの様々な症状を引き起こします.
フィラリア症に感染している犬の体の中(心臓や肺の血管)でフィラリア成虫が子虫(ミクロフィラリア)を生みます.この子虫が血液と一緒に犬の体を循環している時に蚊に吸血され蚊の体内へと移動します.蚊の体中で2週間ほど育ち、犬の体内で生活できる感染仔虫になります.その後,蚊が再度,犬を吸血したと同時に再び犬の体に侵入します.体内に侵入した感染仔虫は最初の2〜3ヶ月は皮下組織などで成長し,その後2〜4ヶ月をかけて血管(静脈)内を移動して心臓にたどりつき成虫へと成長します.フィラリア成虫はメスで約27cm,オスで約15cmの大きさです(特に小型犬は心臓も小さいので、小数寄生でも重い障害を起こします).これらの成虫が性成熟して子虫(ミクロフィラリア)を産めるようになるのにさらに数ヶ月必要となります.
心臓に住み着いたフィラリア成虫は主に肺動脈内の血液の中で生活をしています.数が増えすぎると肺動脈から右心室・右心房へと戻ってくることもあります.またフィラリア成虫の寿命は5〜6年と言われています.