心臓の病気のお話(その2)
フィラリア症の一般的な診断法は,血液中に子虫(ミクロフィラリア)が居るかどうかを顕微鏡を用いた検査で確認することです.もし,血液中に子虫が確認されれば,それを生んだ親虫が最低でもオス・メス1匹ずつが心臓に居ると言うことになります.
特殊な例として「オカルト感染」という場合が存在します.これは,心臓に寄生しているフィラリア成虫がオスばかり,またはメスばかりで子虫を生まない病態,または,繁殖能力を失った老齢のフィラリア成虫ばかりの状態の時です.「オカルト感染」状態の時には,血液を観察する検査では心臓にフィラリア成虫が存在しているかどうかはわかりません.このような場合が疑われる時には,フィラリア成虫の存在を確認する免疫学的検査キットを用いて検査を行います.
フィラリア症に感染していることが確認された場合には,フィラリア症が軽度なのか,中程度なのか,重度なのか,の判定のために追加検査が必要になります.病気の程度によってその後の治療法が変わってくるからです.
フィラリア成虫の寄生によって心臓が大きくなっていないか,心臓や肺の変形が起きてないか,を調べます
フィラリア症の感染に伴って,肝臓や腎臓に障害を持っていないかを調べます.腎臓や肝臓に障害を持っている症例ではその後の治療薬が投与できない場合があります.
心臓の拡大や変形に伴って不整脈が発生している可能性がありますのでそのチェックのために検査を行います.
状態が安定している症例においては,超音波検査を実施して,右心房/右心室,肺動脈内のフィラリア成虫の寄生の状態(三尖弁などに虫体が絡みついていないか)や,右心不全の病態(右心系の拡張の程度,三尖弁閉鎖不全の有無)などをチェックします.