歯周病を考える
子犬時代のいろいろなトレーニング(例えば,「お座り」,「待て」など)に加えて,歯みがきトレーニングの習慣化を行いましょう.ご褒美(おやつなど)を使って,段階的に歯に触られる事に慣らしていきます.デンタルケア商品を上手に有効に使うと上手くいきます.
※「歯みがきトレーニングの方法」は,後日アップ予定ですので,そちらを参照してください.
歯みがきが出来なくてもデンタル用ガム,おもちゃなどを正しく使う事で,歯石の付着を少なくすることが可能です.それぞれの商品の特性を知って有効的に活用しましょう.
現在,デンタルケア商品としは,いろいろな物が販売されています.
歯ブラシ&歯磨き粉,歯石対策用フード,デンタルジェル,マウスウオッシャー,口臭対策用スプレー,口腔内環境改善用サプリメントなどがあります.
それぞれのワンちゃんのライフスタイルに合った商品を選び活用することが良いと思います.
※当院お薦めのデンタルケア商品などに関しては,「デンタルケア商品を考える」でアップ予定ですので,そちらを参照してください.
成犬になって歯石の付着が見られる,口臭が感じられる,歯茎が赤く腫れてきた,などの症状が認められたら,それは歯周病の始まりである可能性があります.健康であるワンちゃんであれば,全身麻酔下での歯石取りの手術を行いましょう(ぐらついている歯などがあれば,抜歯する場合もあります).付いている歯石を取り除く事で歯周病の根本的な原因を取り除く事ができます.歯周病予防・対策としてもっとも効果的な治療法です.
全身麻酔下での処置ですので,麻酔が安全にかけられる状態であるかどうかを術前に検査する必要があります.術前検査として血液・血液化学的検査,胸部レントゲン検査は最低限必要な検査項目となります.検査結果に問題がなく,麻酔が安全にかけれられる場合にのみスケーリング手術が実施されます.
犬歯,臼歯などの大きな歯に付いている歯石を,抜歯鉗子などを使って,歯石を割るように感じで大まかに除去します.
超音波スケーラーという機械を使って,それぞれの歯の表面に付着してる歯石,歯肉縁窩(歯と歯ぐきの隙間)の歯石・歯垢を除去します.
その後,ハンドスケーラーで取り残した細かい歯石・歯垢を注意深く除去します.
歯石・除去後は,歯石の再付着を防ぐ目的で,研磨用ペーストとポリシングブラシをを用いて,歯の表面を研磨し,滑らかにします.
歯石が認められる,口臭もする,でも,もう高齢で麻酔をかけての歯石取りの手術は怖いと思って,歯周病対策をあきらめている場合もあると思います.そのようなワンちゃんには,口腔内の細菌数を減らす目的で1ヵ月1回程度,7〜10日間,抗生物質を内服投与しましょう.自宅での内服投与が出来ない場合には,1回の注射で2週間の効果を示す長時間作用型抗生物質を利用することもできます.口腔内の歯周病の原因となる細菌数が減ることで口臭が少なくなります.
根本的な原因を除去しているわけではありませんので,継続的な生涯投与が必要になるかもしれませんが効果的な内科的コントロール治療です.同時に適切なデンタルケア商品を併用することで,抗生物質の投薬回数も減らせる可能性があります.
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企画・編集 石堂動物病院