「猫の膀胱炎」のお話
膀胱炎や尿道炎を起こしている症状(頻尿、血尿など)が認められる病気を総称して、「猫の下部尿路疾患」と呼ぶこともあります。
膀胱炎の診断は、問診により膀胱炎の代表的な症状の存在を確認し、触診によって膀胱の状態をチェックします。そして尿検査(ペーパー検査/尿沈渣検査)によって診断します。時にはレントゲン検査や超音波検査によって、結石/結晶の存在や膀胱粘膜の状態、膀胱腫瘍などの潜伏疾患の有無などを検査します。
膀胱炎の治療は、抗生物質の投与(注射/内服)、皮下点滴、食事内容の変更/改善、生活環境の整備などを組み合わせて行います。多くの場合で入院は必要なく、通院治療で対応が可能です。
治療中には複数回の尿検査を行い、治療効果を確認します。
細菌性膀胱炎が疑われる場合には、抗生物質を1〜2週間投与します。抗生物質の投与で、数日で症状が消えて治ったように思えても、勝手にお薬の投与を止めてはいけません。一見治ったように見えても、膀胱内には細菌が残っておりすぐに再発してしまいます。内服のお薬は指示に従って最後まで続けることが大切です。
尿検査でストラバイトなどの結晶が見られた場合には、それが細菌性膀胱炎に伴う一時的なものなのか慢性的なものなのかを判別するために、複数回の尿検査を行います。細菌性膀胱炎を伴わない結晶の出現であるならば、食事内容の検討を行います。食事を尿石症対応の療法食に変えてみてどうなるか経過観察とします。食事を変えることで結晶が認められなくなった場合は、食事変更のみで内服などの治療は必要ありません。
特発性膀胱炎に関しては、次のセクションで詳しく解説します。