老化に伴って猫ちゃんの体には様々な変化が生じます。外見的な変化(痩せてくる、皮膚や被毛の変化)、行動面の変化、内臓機能や免疫機能などの目に見えない変化、存在する疾患に伴う変化などです。
ここでは、ご家族の方が確認できる、外見的な変化と行動様式の変化について簡単にまとめて説明します(内臓機能や免疫機能の変化、存在する疾患に伴う変化などは、動物病院での定期健康検査で見つけることができます)。
1)外見的な変化
- 全身的な筋肉量の低下
腰周辺および大腿部の筋肉の減少は、見た目でも、手で触ってでも感じることができるようになります。この筋肉量の減少が体重減少につながっています。
筋肉量の減少は、運動量の低下、機敏な動きの低下、上下運動を行わなくなるなどの行動様式の変化の原因のひとつでもあります。
- 体脂肪の減少
加齢に伴い体脂肪の減少も起こってきます。体脂肪の減少もまた体重減少につながります。皮下脂肪減少が進めば、背骨が触れるようになったり、腹部の皮膚が垂れ下がった状態が見られるようになります。また、腹腔内脂肪が減少するとお腹がペシャンコになってしまいます。
- グルーミング(毛づくろい)の頻度の低下
グルーミングは皮膚と被毛を清潔に保ち、ストレスのセルフコントロールに役立つので、健康な猫ちゃんは多くの時間をグルーミングに使います。老齢になると、何らかの病気による体調不良や関節炎の痛みによって十分に体を曲げられなくなるなどの理由でグルーミン頻度が低下します。グルーミングが十分に行われなくなると、被毛はツヤがなくなりボサボサした感じになり、また、時に毛玉の原因ともなります。
- 爪が伸び過ぎている
爪研ぎをしなくなり、動き回ることも少なくなると、爪は削れず伸びたままになり、爪が割れることがあります。ひどい時には丸まるように伸びた爪が肉球に刺さってしまうケースもあります。また、爪を収納することができなくなり、常に爪が出たままの状態で毛布などにひっかかったり、人を傷つけたりする事もあります。
2)行動様式の変化
- 食べる量が減る & 「食」の好みが変わる
運動量の激減のために1回の食事量が減り、食べ残しを作ります。また、食の好みがコロコロと変わり3日続けて同じ食事を食べないような猫ちゃんもいます。
- よく眠ります
睡眠時間は長くなり、眠りも深くなり、ちょっとした物音でも起きなくなります。また、社交性が低下し,ご家族や同居動物とのコミュニケーションの機会が減ります。猫ちゃんが望まないのに無理やりコミュニケーションを取ろうとすると、以前より怒りやすくなることもあります。
- あまり動かない
高いところへジャンプしないし、高いところから降りられない。階段などを登ろうとしない。身づくろいをしなくなり1日の活動量は激減します。
関節の老化(関節炎)に伴う痛みが原因なのか、高齢化に伴う脳の活動性低下によるものなのかの判断が難しいところです。
- トイレの回数が増え、トイレを失敗する
水をよく飲むことによってトイレの回数が増えます。時にはトイレ以外の場所(例えば、トイレの直前の場所)で排尿する(トイレを失敗する)ことが増えてきます。